「癒しと憩いのライブラリー」の喜び

伊東に住むようになって、私がいちばん好きになった場所は、サザンクロス・リゾートです。
小室山の山麓にあって、緑の木々に縁どられた坂を登って行くと、ふと聖地に向かうような豊かな気持になります。

正面玄関前の広場に立って四方をごらんください。正面には富士山です。左手には、何億年前か存じませんが、火山のあとが丸まったままの大室山です。古代の風景のなかにいるような幸福感につつまれます。右手はというと、私の大好きなゴルフ場で、コースをたどっていくと、美しい海と大島の景観に出会います。
白亜の建物の中では、温泉をたのしみ、プールをたのしんでいました。そんなある日、夢のようなできごとが起りました。一階の通路に過ぎなかった場所に、こつ然と図書館が出来たのです。
壁一面に美しい漆黒の本箱。ぎっしり詰まった書物。そこには「癒しと憩いのライブラリー」と書かれてありました。
こんなすばらしいアイデアはどこから到来したのでしょうか。私はたちまちこの宝石のような場所の虜になってしまいました。
まだ読んでなかった貴重な本や、心からたのしくなる本に私は何冊出会ったかしれません。
しかしそのことより、まだまだ驚くことがこのライブラリーにはあったのです。
借りた本の最終ページを見ると、本をデザインしたシールの上に、例を一つあげると、たとえば「上野圭一さんの書斎より」と、その本を寄贈した方の名前が書かれてあるのです。

すてきな本を読み終わって、その方のお名前を見ていると、ずっとむかしからの友人にであった気持になります。
おなじ本を愛した者同士の喜びが、サザンクロス・リゾートの空にひろがっていくのです。

ありがとう。「癒しと憩いのライブラリー」。