ナラティブな図書館
物語りのあるライブラリー
私にとっては実に理想的なライブラリーです。
その理由は本の分類と並べ方にあります。書店で本を探したとき、実は目的の本があるにも拘わらず見つけられないという経験をしたことがある人は多いと思います。ところがこのライブラリーではいわゆる書店や一般図書館にありがちな、分類記号に則ったような分類がされているわけではありません。つまりここはまったく違った目線から本が並べられているのです。その目線は本の内容と書き手の意志を反映した目線です。
たとえば、ライブラリーに入ってすぐ最初には癒しのコーナーがあって、その小分類として「ことばが人と世界をつくる」、次に「ことたま(言霊)のひみつ」さらに、からだ、心、生命、健康、気などと続いていき、自然のコーナーにつながっています。そして自然のコーナーでも宇宙、地球、生きもの・・・と続き、憩いのコーナーへとつながります。
ライブラリー全体がナラティブ(物語り)空間なのです。それ故読みたい本を探すときに書名からではなく、内容から探し出すことが可能になっています。このナラティブ空間は館内に訪れた人のナラティブを紡ぎ出し、想像力を増幅させる装置のようです。
私はこの近くに引っ越して「癒しと憩いのライブラリー」で読書三昧にふけり、疲れたときは海を眺めるという生活ができないものかと夢を抱いています。
野村敏晴、東京、出版社経営